院長コラム
男性ホルモンは女性の身体にどう働くの? (1)
男性ホルモンは男女問わず存在する性ホルモンです。
代表的な男性ホルモンであるテストステロンは、男性では精巣で産生され、女性では副腎や卵巣で産生されます。女性ではコレステロールを前駆物質として卵巣で男性ホルモンが合成され、アロマターゼという酵素の作用で女性ホルモンに変換されます。つまり、女性ホルモンを産生するために男性ホルモンは欠かせないものなのです。
女性における血液中のテストステロン濃度は男性の5-10%程度ですが、卵細胞の成長成熟に必要な顆粒膜細胞の増殖に不可欠なホルモンです。不妊治療において排卵誘発への反応が悪い方に経皮テストステロンを投与して成熟卵獲得数や生児獲得数が増加したという報告が複数あります。ただ、テストステロンの過剰産生は排卵障害を誘発します。卵巣から男性ホルモンを過剰産生させる多嚢胞性卵巣症候群は排卵障害を起こす代表的な不妊症の原因疾患として知られています。これらのことから男性ホルモンは妊娠に関連して重要なホルモンという事がわかっています。
次回は男性ホルモンの他の役割をお伝えします。