院長コラム
エストロゲンは女性の一生にどう関わるのか?(2)
女性の心身に影響を及ぼすエストロゲン。今回は思春期とエストロゲンの関わりについて説明します。
思春期とは8歳頃から17-18歳頃までの時期に相当します。この時期には乳房発育、恥毛の発現、身長の伸び、皮下脂肪の蓄積、初経が順次起こります。この心身の発育はエストロゲンの働きによってもたらされます。通常は身長の伸びがピークを迎えた後、約1年後に初経がきますが、皮下脂肪の蓄積が多い(肥満)と思春期の発育の過程が早期に進行するという報告があります。早すぎる思春期は精神的な発育と身体的な発育の乖離を生み、社会適応にも支障をきたすことがあります。
また、早期のエストロゲン分泌は骨の発育を止め、低身長の原因ともなります。皮下脂肪の蓄積不足(やせ)は初経を遅延させます。エストロゲンは骨の強度を高める作用もあり、初経の遅れは疲労骨折のリスクになります。
15歳で初経がない、初経はきたが3ケ月以上月経がきていない、これらは身体が発信する危険信号です。放置せずに婦人科へ相談してください。起こるべき時期に発育が起こるように、正しい知識を身に付けましょう。