婦人科
性感染症
性感染症には様々なものがあり、その症状は様々です。おりものの異常やかゆみ、痛みや出血など多種多様です。近年クラミジアや淋菌の感染が10~20歳代の若年層で増加の一途をたどっています。早期診断、早期治療が重要です。放置した結果、不妊症の原因になってしまう場合もあります。不安を感じたら、すぐに検査を受けましょう。
クラミジア感染症
病原体はクラミジアトラコマティス、潜伏期間は1~3週間です。世界的にもすべての性感染症のうちで最も発生数が多い疾患です。男性では排尿時痛や尿道掻痒感が生じますが、女性では半数以上の方が無症状ともいわれています。放置すると不妊、流産・死産の原因になることがあります。診断は子宮頸管内の分泌物を用いた検査で行います。治療には抗菌薬を使います。
性器ヘルペス感染症
病原体はヘルペスウイルス、潜伏期間は2~10日です。外陰部の腫れ・痛み、水疱やびらん形成などの症状を認めます。再発することも多いですが、初発に比べると症状は軽いです。診断は病変部からウイルス分離、抗原検出や核酸検査(PCR)で行います。治療には抗ヘルペスウイルス薬を使います。
梅毒
病原体は梅毒トレポネーマ、潜伏期間は約3週間です。はじめに感染部位に軟骨様の硬度を持つ硬結(しこり)や潰瘍を形成して、やや遅れて両側の鼠径部のリンパ節などが腫れます。放置すると症状が徐々に進展していきます。放置した場合2~3週間で消失しますが、約3か月後に様々な発疹が現れます。更に放置した場合、精神神経異常、死に至ることもあるほか、母体の感染により出生児が先天梅毒になることがあります。診断は病変部の病原体を確認(顕微鏡観察)するか、あるいは血液による抗体検査で行います。治療には抗菌薬(主としてペニシリン系)を使います。
淋病
病原体は淋菌、潜伏期間は2~7日です。おりもの異常や不正出血が一般的な症状ですが、無症状例も多くみられます。放置すると不妊の原因になることがあるほか、感染した母体から出産した新生児が淋菌性結膜炎になることがあります。診断は子宮頸管内の分泌物を用いた検査で行います。治療には抗菌薬を使います。
尖圭コンジローマ
病原体はヒトパピローマウイルス(6型・11型)、潜伏期間は3週間~8ヶ月です。性器・肛門周囲などに鶏冠様の腫瘤が出来ます。放置した場合、一部は自然治癒しますが、悪性転化することもあります。診断は、病変部の形態の観察、病原体の核酸検査(PCR)、切除病変の病理検査で行います。治療は切除や外用薬などがあります。